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所得税の定額減税とは?給与担当者向け解説

更新日:2026.09.17
所得税の定額減税とは?給与担当者向け解説

所得税の定額減税は、令和6年分(2024年分)の所得税を対象として実施された制度です。給与担当者には、毎月の給与・賞与から減税額を控除する「月次減税」と、年末調整で年間の税額を精算する「年調減税」の対応が求められました。この記事では、定額減税の対象者・減税額・月次減税・年末調整との関係、給与担当者が注意すべきポイントをQ&A形式で解説します。

Q1. 所得税の定額減税とは何ですか?

所得税の定額減税とは、令和6年分(2024年分)の所得税について、一定額を所得税額から控除する制度です。

給与所得者については、原則として2024年6月1日以後に支払われる給与・賞与から、源泉徴収する所得税額を減額する形で実施されました。

定額減税は一律に4万円を給与から差し引く制度ではありません。所得税については、本人分3万円に加え、一定の要件を満たす同一生計配偶者・扶養親族1人につき3万円が控除されます。

なお、住民税については所得税とは別の仕組みで定額減税が行われました。

ポイント

  • 対象は令和6年分(2024年分)の所得税:今回の定額減税は2024年分の所得税を対象とした制度です。
  • 所得税の定額減税は本人1人につき3万円:本人分として3万円が控除されます。
  • 同一生計配偶者・扶養親族は1人につき3万円:一定の要件を満たす場合に控除対象となります。
  • 給与所得者は原則として2024年6月以降の給与等で対応:月次減税によって源泉所得税から順次控除します。

国税庁によると、所得税の定額減税の対象者は、令和6年分の所得税に係る合計所得金額が1,805万円以下の居住者です。給与収入のみの場合は原則として2,000万円以下が目安となります。

Q2. 定額減税はいくら受けられますか?

所得税の定額減税額は、原則として本人3万円、同一生計配偶者または扶養親族1人につき3万円です。

例えば、本人と同一生計配偶者、扶養親族2人の4人が対象となる場合、所得税については3万円×4人=12万円が減税可能額となります。

ただし、実際に控除できる金額は、その人の所得税額が上限です。減税可能額が所得税額を上回る場合、給与から源泉徴収される所得税を超えて控除することはできません。

また、定額減税の対象となる「同一生計配偶者」や「扶養親族」は、通常の扶養控除などとは判定基準が異なる部分があるため、給与担当者は申告書の内容を確認する必要があります。

Q3. 月次減税とは何ですか?

月次減税とは、2024年6月1日以後に支払われる給与・賞与について、源泉徴収する所得税から定額減税額を順次控除する仕組みです。

例えば、本人分と扶養親族などを合わせた定額減税可能額が9万円で、6月の給与から控除できる所得税が3万円だった場合、6月に3万円を控除し、残りの6万円については、その後に支払われる給与・賞与から順次控除します。

つまり、月次減税では「その月にまとめて3万円を必ず控除する」という考え方ではなく、定額減税可能額を上限として、源泉徴収税額から順次控除することが重要です。

国税庁も、6月の給与等に対する源泉徴収税額から控除しきれなかった定額減税額について、2024年中に支払われる給与等から順次控除するとしています。

筒井彰英 税理士
税理士からのひとこと
筒井 彰英(税理士)

月次減税は控除額だけでなく、控除済み額と残額の管理まで行うことが給与担当者の実務上の重要ポイントです。

Q4. 月次減税では何を確認する必要がありますか?

給与担当者は、主に「定額減税の対象者」「同一生計配偶者・扶養親族の人数」「これまでに控除した定額減税額」を確認する必要があります。

特に重要なのが、扶養控除等申告書などの記載内容です。

2024年6月以後の最初の月次減税事務を行う時点で提出されている申告書等をもとに、定額減税額を計算します。

そのため、給与担当者は次のような情報を整理しておく必要があります。

  • 本人が定額減税の対象者か:対象となる所得要件などを確認します。
  • 同一生計配偶者が対象となるか:定額減税の要件に該当するか確認します。
  • 扶養親族が何人いるか:控除対象となる人数を確認します。
  • 6月以降にいくら控除したか:月次減税で実際に控除した金額を管理します。
  • 控除しきれていない定額減税額はいくらか:その後の給与等から控除する残額を把握します。

月次減税額の計算基礎となった扶養人数などに、その後変更が生じても、月次減税の計算額をその都度変更するのではなく、年末調整などで最終的な精算を行うケースがあります。

Q5. 月次減税と年末調整はどのような関係がありますか?

月次減税は毎月の給与・賞与で行う「途中段階の控除」であり、年末調整では年間の所得税額をもとに最終的な精算を行います。

2024年の年末調整では、年末調整の対象者について、年末調整によって計算した年調所得税額から「年調減税額」を控除する仕組みが設けられました。

つまり、給与担当者は、次の流れで対応します。

  1. 月次減税で毎月の源泉所得税から控除する
  2. 年末調整で年間の所得税額と定額減税額を確認する
  3. 必要に応じて差額を精算する

国税庁の令和6年分年末調整資料でも、定額減税は年末調整における変更事項として取り扱われています。

筒井彰英 税理士
税理士からのひとこと
筒井 彰英(税理士)

月次減税と年末調整は別処理ではなく、年間の所得税を正しく精算するための一連の業務として管理しましょう。

Q6. 年末調整の「年調減税」とは何ですか?

年調減税とは、2024年の年末調整において、年末調整で計算した所得税額から定額減税額を控除する処理を指します。

月次減税だけで定額減税を完了させるのではなく、年末調整時点の扶養状況や年間の給与等を踏まえて、最終的な定額減税額を計算します。

例えば、2024年6月以降に結婚や出産などによって扶養関係に変更があった場合、月次減税時の情報と年末調整時の情報が異なる可能性があります。

そのため、給与担当者は月次減税の控除額だけを見るのではなく、年末調整時に最終的な対象者・扶養人数を確認する必要があります。

国税庁のQ&Aでは、年末調整の対象者について、年調所得税額から年調減税額を控除し、その後、復興特別所得税を含めた年調年税額を計算する流れが示されています。

Q7. 2024年6月以降に扶養人数が変わった場合はどうなりますか?

2024年6月以降に結婚、出産、子どもの就職などによって扶養親族等の人数に変更が生じた場合は、月次減税と年末調整で扱いが異なる点に注意が必要です。

月次減税では、一定の時点で提出されている扶養控除等申告書などを基準として減税額を計算します。

その後に扶養親族等の人数に異動があった場合は、年末調整または確定申告によって年間の所得税額と定額減税額を精算することがあります。

そのため、給与担当者は「6月時点の扶養人数」と「年末調整時点の扶養人数」が異なっていないかを確認することが重要です。

Q8. 2024年の途中で入社した従業員にも月次減税は必要ですか?

2024年の途中で入社した従業員についても、一定の条件を満たす場合は定額減税の取り扱いを確認する必要があります。

特に、2024年6月2日以降に中途採用した従業員については、月次減税ではなく、年末調整で定額減税を精算するケースがあります。

給与担当者は、入社日だけで判断するのではなく、扶養控除等申告書の提出状況や年末調整の対象者に該当するかを確認したうえで処理することが必要です。

中途入社や複数の勤務先がある従業員など、個別判断が必要になるケースでは、国税庁のQ&Aや年末調整の手引きを確認することをおすすめします。

Q9. 定額減税は2026年も実施されていますか?

今回の定額減税は、令和6年分(2024年分)の所得税を対象とした制度です。

したがって、2026年の給与計算で2024年と同じ月次減税を行う、という制度ではありません。

現在、給与担当者が定額減税について確認する場合は、「2024年分の給与計算・年末調整に関する過去の処理を確認したい」というケースなのか、「2026年現在の税制について知りたい」というケースなのかを区別することが重要です。

過去の定額減税処理については、国税庁が公開している令和6年分の資料・Q&Aを確認できます。

Q10. 給与担当者が定額減税で注意すべきポイントは何ですか?

定額減税では、単純に毎月の給与から一定額を差し引くだけではなく、対象者・扶養人数・控除済み額を継続的に管理することが重要です。

特に注意したいのは次の5点です。

  1. 定額減税の対象者を正しく確認する
  2. 同一生計配偶者・扶養親族の人数を確認する
  3. 月次減税で控除した金額を管理する
  4. 扶養人数などの変更を年末調整につなげる
  5. 年末調整で年間の定額減税額を最終確認する

2024年の定額減税では、通常の給与計算に加えて減税額の管理が必要となったため、給与担当者の事務負担が増えました。

今後、同様の特別な税制措置が実施される場合に備えて、給与計算ソフトやクラウド給与計算など、計算・管理を効率化できる仕組みを整えておくことも重要です。

Q11. 定額減税について給与担当者だけで対応するのが難しい場合はどうすればよいですか?

定額減税では、給与計算だけでなく、扶養情報の確認、源泉所得税の計算、控除額の管理、年末調整まで一連の業務を正確につなげる必要があります。

特に従業員数が多い会社や、扶養状況の変更が多い会社では、Excelや手作業だけで管理すると確認項目が増えます。

給与計算・年末調整の業務量が大きい場合は、給与計算ソフトの導入や給与計算代行などを活用し、担当者の負担を減らす方法もあります。

よくある質問

Q. 所得税の定額減税はいくらですか?

A. 本人について3万円、同一生計配偶者・扶養親族について1人あたり3万円が基本です。対象となる所得税額を上限として控除されます。

Q. 月次減税とは何ですか?

A. 2024年6月1日以後に支払われる給与・賞与について、源泉徴収する所得税から定額減税額を順次控除する仕組みです。

Q. 月次減税と年末調整の違いは何ですか?

A. 月次減税は毎月の給与・賞与で源泉所得税から控除する処理です。一方、年末調整では年間の所得税額をもとに定額減税額を最終的に精算します。

Q. 2024年6月以降に扶養人数が変わった場合はどうなりますか?

A. 月次減税時の計算と年末調整時の扶養状況が異なる場合があります。その場合は、年末調整または確定申告で最終的な税額と定額減税額を精算することがあります。

Q. 定額減税は2026年もありますか?

A. 今回の定額減税は令和6年分(2024年分)の所得税を対象とした制度です。2026年の給与計算について、2024年と同じ月次減税を行う制度ではありません。

まとめ

定額減税は令和6年分(2024年分)の所得税を対象とした制度で、給与所得者については2024年6月以降の給与等から月次減税を行い、年末調整では年調減税による精算が行われました。

  • 月次減税:2024年6月以降の給与・賞与から源泉所得税を順次控除します。
  • 年調減税:年末調整時に年間の所得税額をもとに定額減税額を最終的に精算します。
  • 給与担当者の管理:対象者、扶養人数、控除済み額、扶養状況の変更などを一連の業務として管理することが重要です。

今後、税制改正などによって給与計算の対応が複雑になった場合にも、従業員情報・給与計算・年末調整を一元的に管理できる体制を整えておくと、担当者の負担軽減につながります。

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この記事の監修者

筒井彰英

代表

筒井彰英

1979年(昭和54年)生まれ。愛知県豊川市出身。
ニュージーランドの高校(グレンダウウィーカレッジ)を卒業後、南山大学経済学部に入学。
大学を卒業と同年に税理士国家試験合格。
東京の新日本アーンストアンドヤング税理士法人に就職し、国際法人税務に携わる。
帰郷し、当時母が営む筒井経営会計事務所に就職。
平成21年1月、代表に就任。
平成26年9月、税理士法人中央会計社を設立・代表に就任。

(東海税理士会所属 税理士登録番号:109111)

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